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年間200万人が訪れる国営ひたち海浜公園の知られざる裏側とは?

インタビュー 2018.04.11
公園文化WEB 連動企画

本記事は一般財団法人 公園財団の運営する「公園文化WEB」からの記事提供でお送りします。今回は「公園管理運営『チャンレジ!』しました」のコーナーから、国営ひたち海浜公園の管理運営で起こったトラブル秘話です。

いまや国内外から人気を集める国営ひたち海浜公園は、もともと米軍の水戸対地射爆場のあった土地でした。1973年(昭和48年)に米軍から返還され、地元住民の強い願いとともに平和利用の一環として公園に生まれ変わりました。自然環境の保全と、関東地方の広域的なレクリエーション需要に応えるために、国が整備・管理しています。公園として計画されている面積は約350ha(東京ドーム約74個分)。1991年の開園時には70haからスタートし、徐々に面積を広げながら現在は約200haが開園しています。

公園利用者の増加と多様化に対応する施設管理

今回、ひたち海浜公園で花の絶景を支えている、ひたち公園管理センター業務課長 加藤伸治さんに公園での施設管理についてお話を伺いました。

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ひたち公園管理センター業務課長 加藤伸治さん

海外からの来園者も増加

ー ひたち海浜公園は、みはらしの丘のネモフィラやコキアが有名で、とても多くの方が訪れていますね。

加藤さん:春のネモフィラや秋のコキアなど大規模な花畑が見ごろとなる4〜5月と10月、ROCK IN JAPAN FESTIVAL(※)が開催される8月には大勢のお客様が訪れ、1ヶ月で30万人以上のお客様がいらっしゃいます。ネモフィラやコキアの評判が高くなるにつれ、台湾やタイ等海外からのツアーも多く見られるようになりました。

※2000年より毎年開催されている野外音楽フェス。200組を超えるミュージシャンが参加する日本最大級の野外ロック・フェスティバル。

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絶景として人気のネモフィラ畑

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4日間に渡り開催されるROCK IN JAPAN FESTIVAL

人気の裏で直面した課題とは?

ー 来園者が増えたことで、施設の管理に影響はありますか?

加藤さん:少々汚い話になりますが… 1日の入園者数が5万人を超す超繁忙日に、汚水ポンプ施設に不具合が出るようになってきました。汚水ポンプ施設というのは、園内にある各トイレ等から出る汚水を園外の処理場へ搬出する役割をしています。途中1箇所でも故障すると、園内のトイレの利用制限をする必要が出るなど大きな支障をきたすため、不具合があれば一刻も早い修繕が必要となります。2014年は修繕が2件であったものが、2015年には10件と5倍にもなりました。

ー トイレは利用者にとっても影響が大きいですね。なにか対策は取られたのでしょうか?

加藤さん:原因として考えたのは、まず年々増加する外国人のお客様へのトイレ利用案内不足。もうひとつは、ポンプ施設に異物を取り除くための設備がないため、詰まってしまうことです。案内不足については、4ヶ国語表記とイラストでトイレの利用方法を全トイレに掲示しました。また詰まり対策では、ポンプの下水流入口に特注の「異物混入防止スクリーン」を設置し、異物が流入しないようにしました。結果、スクリーンを設置した箇所では繁忙期にも詰まることがなくなり、効果が確認できてホッとしています。

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トイレの全個室に掲示した利用案内/提供元:京都市環境政策局循環型社会推進部まち美化推進課

利用者のライフスタイルにも対応した公園運営へ

加藤さん:このトラブルを通じて興味深かったのは、スクリーンに集積した異物から詰まりの原因の多くが「汗拭きシート」や「赤ちゃんのお尻拭き」だと分かってきたことです。汗拭きシートを使うといった生活習慣の変化と、それを排水に流してしまうという誤った利用が重なり、このような問題を引き起こしていると考えることができます。つまり管理者には、こうした社会の変化を的確に捉え、広い視野に立ったトラブル対応が求められていくということですね。

ー なるほど、公園の施設管理にはそういった柔軟さも求められるのですね。

ひたち海浜公園が開園してから26年、お客様の増加に加えて生活習慣の多様化により、これまでにない新しい公園利用の形や、一方で問題なども見られるようになりました。施設面では老朽化も課題です。これまでの公園の管理運営の経験を活かすことはもちろん、お客様や社会の変化をしっかり察知し、スピーディーな対応を心がけたいです。そして、お客様に楽しんでいただける快適な公園環境を保持していきたいと思います。

記事提供:公園文化WEB(PARKFULパートナー)
公園文化WEBは公園を楽しく使い込んでゆく市民と、公園管理に携わる人のための、公園や緑花文化に関する情報サイトです。
http://www.midori-hanabunka.jp/

PARKFUL編集後記

国内外から高い人気を誇る国営ひたち海浜公園の管理運営において、もっとも印象的だった「チャレンジ」エピソードが、トイレ問題対策だったということで、これがリアルな現場の苦労なのだということが伝わってきます。公園を思い切り楽しむことができるのも、こうしたスタッフの皆さんの管理運営の賜物ですね。加藤さんの仰るように、公園管理者にはスピーディーで柔軟な現場対応を求められるとともに、このような利用者の多様化そして施設の利用方法・利用マナーによる影響の大きい課題に対しては、日頃からさまざまな手段で情報発信をし、認知・理解を広めていくことも重要になってくるでしょう。(PARKFUL編集部)

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