開業から100年を超えた常陸大宮駅では、駅前の狭いロータリーや駐車スペースの不足による渋滞、駅前商店街の空洞化などの課題解決を目指し、安全性や回遊性に配慮した道路の整備、市街地の活性化など、再整備の計画が進んでいます。新たに駅の西側に改札ができることに伴い、西口エリアに子育て支援や多世代の市民交流の場となる交流拠点・公園をつくる計画が進んでいます。今回、その交流拠点の機能検証として行われた社会実験について、担当の常陸大宮市役所駅周辺整備推進課小泉さんにお話を伺いました。
広場の機能を検証するための社会実験
― 今回の社会実験の目的を教えてください。
小泉さん:交流拠点となる公園整備の基本方針に沿って「駅前という立地を活かした新しい魅力づくり」「子育て支援に目を向けた交流拠点」「市民が安心して暮らせる安全な地域づくり」という3つのコンセプトをもとにあたらしい公園の整備計画を進めていました。今回の社会実験の目的は、計画の要素の中から「にぎわいの創出」「インクルーシブ・パークの整備」「防災機能の充実」という3つを検証することでした。検証のため、建設予定地を会場として、新型コロナウィルス感染症対策に努めながら、昼の部(平日・休日)と夜の部(休日)の2部制で行いました。どのような社会実験にするか企画からのスタートで準備は大変でしたが、職員がアイデアを出し、他の部署と連携を図りながら、関係機関の方々に協力をいただき、無事開催することができました。また、3日間で延べ1,500人以上の来場者となり、予想以上に多くの方にご参加・ご協力をいただき、大変嬉しく思っております。
― それぞれの検証について当日の様子を教えてください。
参加型企画・キッチンカーの出店での賑わいの創出
小泉さん:子育て支援を目的とした親子で楽しめるワークショップやゲームの企画を行い、みなさん楽しく参加していただけました。また、コロナ禍での新しい生活様式の実践とオープンスペースの活用方法をイメージして、キッチンカーを設置しました。出店に際しては、市内外の事業者が参加し、たくさんの来場者の方にご利用していただき、キッチンカーの重要性を再認識することができました。
インクルーシブパークの整備
小泉さん:「インクルーシブ・パーク」については、あたらしい公園の整備のコンセプトとして、以前から公園づくりワークショップを開催し、意見交換を行うなど、市民の皆さまと一緒に勉強をしておりました。
インクルーシブ・パークは、茨城県内においても、なかなか整備が進んでいないこともあり、市民の皆さまに「インクルーシブ・パーク」を具体的にイメージしていただくため、今回は実際にインクルーシブ遊具を置いて、直接見て触れて遊んでもらう機会をつくりたいと考えました。当日は過去のワークショップの参加者や障害者団体の方々が率先してインクルーシブ遊具の紹介や案内をしてくださいました。常陸大宮駅周辺には大きな公園がありませんので、このような仮設の公園ですが、子どもたちが楽しそうに遊んでいる様子を見て、あたらしい公園の未来の風景を想像することができました。
防災機能の充実
小泉さん:夜間の公園でも安全に過ごせるように、夜の部において明るさの検証を行いました。会場の照明の明るさを3段階で調整し、来場者の皆さまに体験していただき、アンケートでご回答していただきました。また、昼の部においては、防災機能のついたベンチや消防車の展示、水消火器や避難所体験など、防災・防火体験のイベントも実施しました。
今後の整備の予定・スケジュール
― 今後の整備の予定を教えてください。
小泉さん:常陸大宮駅周辺整備は、平成28年度から始まり、第1期の整備目標を令和7年度として、駅や道路、交流拠点などを含む周辺エリア一体の整備を進めております。今回の社会実験の成果を受けて、これから交流拠点・あたらしい公園の実施設計など具体的な検討を進めていきます。まだまだ駅西交流拠点の計画は始まったばかりなので、市民の皆さまや事業者の方々にも関わっていただきながら、安全・安心な街の中の魅力ある公園となるよう整備を進めてまいりたいと考えております。
スケジュール概要
時期 | 実施内容 |
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平成28年度 | 常陸大宮駅周辺整備基本計画の策定 |
令和2年度 | 常陸大宮駅周辺整備計画の策定、常陸大宮駅西交流拠点化構想の策定、常陸大宮市公園づくりワークショップの開催 |
令和3年度 | ワークショップ「子育て世代にやさしいカフェ」開催、社会実験の実施、常陸大宮駅西交流拠点基本計画の策定 |
令和7年度 | 竣工予定 |
常陸大宮駅周辺整備事業について詳しくはこちら
https://www.city.hitachiomiya.lg.jp/page/dir005998.html(常陸大宮市HP)