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スプリング遊具の輪廻転生!? ごきげんな歩行者タカハシさんに聞く、公園遊具たちの愛おしい世界

特集 2026.03.11
Pickup

公園の新しい楽しみ方をご紹介するインタビューシリーズ。

公園にはすべり台やブランコ、鉄棒などたくさんの遊具があります。最近はSNSでユニークな公園遊具の投稿を見かけることも増えましたが、今回はその中でもスプリング遊具だけに特化して魅力を発信し続ける、「妄想!スプリング遊具」のタカハシワカナさんに注目しました。


タカハシ ワカナ
スプリング遊具観察家。ものづくりが好き。ごきげんな歩行者として路上観察をたのしむ。
👉 タカハシさんのInstagramはこちら:@bane.asobi1


タカハシさんと駅で待ち合わせをして、散歩がてら歩くこと10分少々。 たどり着いたその公園には、思わず二度見してしまう不思議な光景がありました。わずか1メートル足らずの距離に、寸分違わぬ姿でちょこんと並び立つ2匹のうさぎ。

タカハシさん

タカハシさん

まるで、影武者のようですよね

そう言って色々な角度からカメラを構え、2匹を撮影するタカハシさん。彼女がなぜこれほどまでにスプリング遊具たちに心を奪われているのか、公園を一緒に巡りながらインタビューさせていただきました。

全ての始まりは「パンダとコアラとの別れ」だった

タカハシさんのスプリング遊具集めが始まったのは2017年頃からですが、情熱が決定的なものになったのは、地元にある小さな公園での出来事でした。かつてその公園には、年季の入ったコアラとパンダのスプリング遊具がありました。


ある日、タカハシさんが公園を訪れると、パンダとコアラがロープで囲われ、立ち入ることができなくなっていました。これは遊具たちが撤去される合図で、たまたま別れのタイミングに立ち会うことができたのです。

いつもそこにいると思っていた遊具たちが旅立ち、そして別の遊具に生まれ変わり、新たに子どもたちを楽しませている、この出来事が、タカハシさんをスプリング遊具観察の道へと駆り立てるきっかけとなりました。

ヘビの造形への問い、そして「干支」を集めたいという野望

タカハシさんが定義するスプリング遊具とは、原則として一人乗りのものです。

タカハシさん

タカハシさん

魅力はなんといっても「顔」があることです。顔があるということは、そこに「向き」が生まれ、必然的に「表情」が宿ります。遊具を単なる無機質な物としてではなく、一対一で対峙する「生き物」として見ているんです

タカハシさんは、自らを「傍観者」と位置づけます。子供たちが元気いっぱいに遊んでいるときは遠くから見守り、誰もいない時間帯に、スプリング遊具の声を聞くようにシャッターを切る。

タカハシさん

タカハシさん

ヘビのスプリング遊具を見つけた時、ふと「なぜスプリング遊具なんだろう?」って不思議に思ったんです。細長い滑り台やシーソーの方が形としては合うはずなのに、あえて一人乗りのスプリング遊具にヘビを落とし込んだ。
そこから、他の十二支もスプリング遊具になっているんじゃないかと思い立ち、今は干支コンプリートを目指して探しています

あとは子(ねずみ)と猿を探索中とのこと。目撃情報がありましたらぜひタカハシさんまでご一報を!

配置の妙と彼らがそこにいた証

タカハシさんは、遊具単体だけでなくその「配置」にも惹かれます。

タカハシさん

タカハシさん

顔と顔を合わせて見つめあっていたり、1頭の後ろに2頭が陣形をとっていたり。配置によってドラマが生まれるのが面白いんです

しかし、スプリング遊具の寿命は案外早く、10年ほどで交換になることも。探索を続けていると、どうしても抗えない交代を目撃することもあります。

タカハシさん

タカハシさん

撤去が決まると、遊具に安全のためのロープが巻かれることがあります。あれは、彼らにとっての最期ように見えて、少し切ないけれど、同時に新しい出会いへの期待も膨らむんです。地元のパンダたちの時のように、形を変えて、あるいは新品として再び現れる……
まさにスプリング遊具の輪廻転生を目撃しているような気分になりますね。撤去された跡地にポツンと立つカラーコーンも、彼らがそこにいた証のサインのように感じています

Google mapで見つけても、実際に行ってみたらいなかったということもよくあるそう。例えば、大田区の「池上みどり児童公園」。検索画面を見せてもらうと、そこには見つめ合うロマンティックなパンダとコアラが写っていましたが、今はもう撤去されてしまったといいます。

8年前に投稿された当時の写真を眺めながら、「実際に公園に行っても、もうこのロマンティックな一枚は撮れない。いつかこの写真を投稿した方に連絡して、写真の使用許可をもらいたいくらいです」と、タカハシさんは愛おしそうに語ってくれました。

銭湯の煙突を探すように、五感で公園を見つける

タカハシさんの探索スタイルは、五感を使った路上観察です。もともと銭湯好きで、Google Mapを使わずに、散歩をしながら煙突を探すことで銭湯を見つけてきました。

タカハシさん

タカハシさん

良い香りのするおじいちゃんやおばあちゃんが歩いてくると、「あ、銭湯が近いな」とわかる。公園探しも同じです。歩きながら公園を見つけ、そこでの偶然の出会いを大切にしています。

ランドスケープの仕事に携わるタカハシさんにとって、公園は「セーブポイント」でもあるといいます。

タカハシさん

タカハシさん

ゲームの途中でセーブするように、ふとベンチに腰掛けてほっと一息つく、公園は誰にでも開かれた街のセーブポイントなんです

ZINEに込めた想い。図鑑から考察まで。

もともと図鑑作りが夢だったタカハシさんは、これらの観察記録をZINEとして形にし、これまでに10回近くイベントへ出展されています。栃木での会社員時代に、フリーランスや自営業の方々が多く集まる宇都宮のコワーキングスペースによく顔を出し、そこでの出会いをきっかけに制作が始まったそうです。

ZINEは自分で製本をしており、散歩で新しいスプリング遊具にに出会うたび、ページを追加・整理できるようにリングで綴じるタイプにしています。そして小さい子どもからこの図鑑を楽しんでもらえるよう、角丸加工にしているところにもタカハシさんの細部までのこだわりが感じられます。


タカハシさん

タカハシさん

公園で写真を撮っていると怪しまれることもありますが、いつかそんな時に「こういう者です」と、パッとこのZINEを見せられるようになりたいですね

次は「公園遊具の輪廻転生」に視点を当てたZINEや、あえて写真を使わずスプリング遊具についての考察や想いだけをまとめた「スプリング遊具考」を作ってみたい、と今後の展望を語ってくださいました。

あなたの街の「変わった子」を教えてください

インタビューの最後におすすめの公園を伺うと、名前が挙がったのが栃木県足利市の「利保公園」でした。

タカハシさん

タカハシさん

龍がモチーフの遊具があって、その傍らに『球』が落ちているんです。コンセプトはドラゴンボールなのかな?でも7つも球がないなと、想像が膨らみます。
一度通り過ぎたのに、どうしても気になって引き返して撮影したほどのかっこよさです!

タカハシさんのスプリング遊具探しの旅は、これからも続きます。

タカハシさん

タカハシさん

まだ見ぬ「干支」の子たちや、思わず二度見してしまうような不思議な造形や配置の子に会いたい。もし皆さんの近所の公園に、変わったスプリング遊具や、一風変わった子がいたら、ぜひ教えてほしいです!

宇都宮のZINEフェスでお待ちしています!

2026年7月4日に栃木県(ライトキューブ宇都宮の大ホール)で開催されるZINEフェスに出店される予定です。また今後も、都内のイベントにも出展を計画されているそうです!出展予定は随時インスタグタムに掲載されるとのことなので、ご確認ください。ぜひ、ご興味がある方、タカハシさんとお話をされたい方、ご参加してみてください〜!

2024年マニアフェスタ8に出店された時の様子

編集後記

しまd

「影武者うさぎ」のシュールな佇まいを見ながら、タカハシさんの話を聞いていると、普段何気なく通り過ぎていた公園一つ一つに物語があると感じました。

公園をどう楽しむかに決まりはありません。タカハシさんのように、一対一の「生き物」として遊具と対話してみたり、配置の妙にニヤリとしてみたり……。そんな新しい視点を持つだけで、いつもの公園がもっと面白く、もっと愛おしい場所に変わる。そんな公園の新しい遊び方を教わった、とってもごきげんなインタビューでした。

※記事内の写真はタカハシワカナさんからご提供いただいたものです。

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