神奈川県公園オープンデータ整備のウラ側
2017年3月29日、神奈川県内約7,800箇所の公園情報を収録したオープンデータが公開されました。コトラボでは神奈川県と協定を締結し、オープンデータ整備に協力。公開されたデータは公園情報アプリ「PARKFUL」にすべて掲載しています。県内全市町村の公園情報を集めた前例のないオープンデータはどのように作られたのか? 今回このプロジェクトを進めた神奈川県スマート県庁推進課(現・ICT推進部情報企画課)の世古さん、長沼さんにその経緯と想いを伺いました。
なぜ「公園」だったのか?
― 全国的にさまざまなオープンデータの整備が進められていますが、今回神奈川県ではなぜ「公園」をテーマに選んだのでしょうか?
自分たちが子育ての当事者というのが大きなきっかけですね。男性での育児休業取得者は庁内にほとんどいないのですが、私たちは二人とも育児休業を取得しています。日頃から子どもを連れて公園へ行きますが、大手地図サービスで近所の公園を検索すると、表示されない公園があることが分かりました。いち生活者の視点で、公園の情報にはニーズがあると感じ、公園のオープンデータ化に取り組もうと考えました。
― では周囲の賛同もすぐに得られたのですか?
じつは当初上司は、本当にニーズがあるのか?という反応で、このニーズにはピンと来なかったようです。世代の差や子育て経験の差もあると思いますが、当事者である自分たちの感覚を信じて説得しました。
― オープンデータが公開されたあと、SNSやメディア上などでは子育て層に役立ちそうだという声が見られました。私たちにとっても、公園の情報を必要としている人がいることをあらためて感じることができました。
自由に活用しビジネスにつなげてほしい
― 今回コトラボとの協働を決意したのはどのような理由だったのでしょうか?
一緒に取り組んでもらう企業を探している中でいくつか公園関連のサービスを見たのですが、PARKFULのデザイン性の高さが目に止まりました。オープンデータは整備するだけでなく、しっかり活用してもらうことが重要です。コトラボなら継続して活用してもらえると感じました。他にもこのデータを活用したいという声は来ていますし、ぜひこのデータをどんどん活用していただき、ビジネスや地域の活性化につなげていただきたいと思っています。
― この公園オープンデータが活用されることで、どのような効果を期待をしていますか?
今回のデータでは、公園の設備や遊具の項目を充実させています。やはり自分たちのような子育てをする人たちにとって、利便性の向上につながればと思っています。また市町村の中には、今回整備したデータを公園の情報管理に活用していきたいという声もありました。行政側にとっての活用メリットもあるのではないかと思います。
日本全国で公園のオープンデータ化が進めば
― この取り組みを今後にどうつなげていきたいですか?
「公園」はオープンデータ化に取り組みやすいテーマだと感じています。公園の情報は本来だれでも知りうるものですし、今回市町村から情報を集めるにあたっても協力が得やすかったです。ただ、「神奈川県」だけでは、利用者からすれば十分ではないとも思っています。今回の取り組みをきっかけに、全国的に波及できる事例になればいいなと思っています。日本全国で統一フォーマットにできたら理想的ですね。あくまで「第一歩」、その意味で、オープンデータの普及・推進の一翼を担うことになれば嬉しいです。
公園のオープンデータから地域の賑わいづくりへ
コトラボでは約7,800箇所の公園データを、公開と同時に公園情報アプリ「PARKFUL」にすべて掲載しました。マップで検索できるほか、設備情報や写真がスマホで手軽にご覧いただけるようになっています。
公園には、実にさまざま楽しみ方・魅力があります。今回のオープンデータには公園の写真も含まれていますが、PARKFULではさらに「利用者目線の公園の魅力」を発信するため、「PARKFULフォトコンテスト in 神奈川県(仮)」を計画しています。アプリの投稿機能を利用し、神奈川県内のすべての公園を対象として公園の魅力的な写真を募集する予定です。
PARKFULは「情報」で公園・利用者・自治体をつなぐことで、公園の賑わいづくり、よりよい公園づくりの実現を目指しています。今回のオープンデータが公園に行くきっかけとなり、地域の賑わいへつながるように、PARKFULではデータ活用に取り組んでまいります。
好きな公園:木場公園、清澄庭園
ふらりと行った公園で生まれる偶然の出来事や出会いを楽しむのが好きです。