「小さな公園を考える。」というテーマのもと、日本とニューヨーク、民間と行政という異なるかたちで公園づくりに携わる3人の会話の中から、公園づくりのヒントや可能性を探る企画。今回は公園の情報発信の果たす役割についての話題へ。
公園の情報発信、情報公開
-PARKFULでは、公園の情報発信を通して、公園を知ってもらい、公園に行ってもらうことに繋げていければと考えています。公園の情報発信についてお話ができればと思います。
島田: 公園の活用を考える時に情報発信も大切だと思います。例えば、旅行に行く前に色々と調べ、いいなと思う所は予備知識をつけたり、イベント等の有無を確認しておくことが多いですよね。公園も同じで、最新情報を随時発信している所だと事前に様々な情報が得られてイメージもわきやすく、少し遠くても行こうという気になりやすい。でも、自宅から近所で徒歩圏内なのに、情報不足ゆえに公園があることを知らないこともある。公園の有無や基本情報などだけでも自宅などで簡単に調べられたら良いですよね。
島田: NY市公園局のウェブサイトでは、当局が現在行っている市内の建設プロジェクトをマップと表記式で一般公開しています。随時更新されており、携帯やパソコンで簡単にプロジェクトのタイプや期間が調べられます。これは、より多くの市民に公園局の活動を知ってもらい、情報の不透明さを削減するためです。地域で何が起こっているか知りたいですよね。こうした情報公開を通して、行政、市民、民間などの距離が縮まることを期待しています。
三谷: 公園の話だけでなく日本は行政、民間ともにまちづくり全般で、情報発信・情報公開がまだまだ少ないなと感じます。例えば、町会、自治会の高齢化や存続の危機という観点からコミュニティの支援をすることもありますが、自治組織って情報が公開されていない。中の人たちは若い人に入ってきてもらいたいんだけど、なにも分からないから若い人はそこに入るのが怖い。何をやっているかもわからないし、人の顔も外からは見えないので入っていけない。地域コミュニティが閉じている状態にも関わらず、行政は地域コミュニティを作りたいと言うし、自治会も開いているつもりでそう言う。公園コミュニティもそうだと思うけど、自分たちは開いているつもりだけど届けたい人に情報発信できていない、届けられていないことに気づいていないことを現場でよく感じます。
島田: そうですね。情報発信と同時に情報公開も大切だと感じています。必要な情報が公開されず、都合に合わせた情報の発信だけではわかりくかったり、状況の判断が難しくなる場合もあると思います。例えば駅前で突然大型な工事が始まり美しい完成像の写真だけ公開していても、その詳細やどのような影響があるかなど広く知らされていないと、写真のイメージが一人歩きすることもありますよね。
業務効率化のための情報整理
島田: 内部利用で使用している情報やデータが、外部者にはわかりにくいということが時々あります。多少不自由でも通常業務や決まった作業を行うには問題ないから、と放置している事も多いのではないでしょうか?そうすると、例えば、業務が複雑化して急な変化が要求される時に必要な情報をすぐに引き出せない、新しい情報と統合できないなどとなり、結局、情報を整理し直すことになります。情報共有が目的でなくても普段から情報整理することは大切ですよね。整理をすることで、情報の関係性を明確にし、分析にも使え、緊急対応も可能になります。さらに仕事の効率もあがり、ストレスや負担も減るなど多くの利点があると思います。
三谷: 情報をのせるための公開プラットフォームというのはニューヨーク市が作っているプラットフォームもあると思うのですけど、地域のプログラムを提供している団体やそれ以外の主体が情報掲載するためのプラットフォームもあるのですか?
島田: NY市で運営管理に関与している団体は自らのプラットフォームを持っている所が多いです。日本と同じでNPOは一定の情報公開をする義務もあります。市主体でなくても、情報があるかないかでソリューションの在り方が変わると思います。情報の共有を通じて様々な可能性が広がり、その利用方法や需要がみえてくる、それを基により多くの人や新しい産業が繋がりネットワークが強化されていく。結果、利用可能な人材、資源や財源も拡大し、さらに多くの事が可能になる。一気に全部は難しいですが、今後更に”シェア”のプラットフォームが広がればと思います。
宮田: そうですね。行政から市民への情報発信ですが、伝えたつもりと実
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(#5へ続く)
次は、地域で公園を支える仕組みについてフォーカスして議論が展開されます!
好きな公園:新宿御苑、富山運河環水公園、チュイルリー公園(パリ)
どこにいっても誰もが自由に入れるのが公園。全国・世界各地の旅先で公園を訪れ、見比べるのを楽しんでます。