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【ピクニック座談会 #05】 小さな公園を考える。 |地域で公園を支える仕組み|

レポート 2019.12.26

「小さな公園を考える。」というテーマのもと、日本とニューヨーク、民間と行政という異なるかたちで公園づくりに携わる3人の会話の中から、公園づくりのヒントや可能性を探る企画。最終回は、地域で公園を支える仕組みについての話題へ。

宮田麻子さん(左):豊島区 政策経営部 「わたしらしく、暮らせるまち。」推進アドバイザー
三谷繭子さん(中央):株式会社Groove Designs代表取締役
島田智里さん(右):ニューヨーク市公園局 都市計画、GISスペシャリスト

地域の人やお店が公園にかかわるために

-公園の運営についてのお話に移りたいと思います。ニューヨークでは、大きな公園だけでなく、地域の小さな公園も地域のボランティアで成り立っているのですか?

島田: 大きな公園の場合、日本の指定管理制度とは少し異なりますがコンサーバンシーやBIDと呼ばれるパートナー団体(非営利団体)が特定の公園管理や運営を行う事が多いです。それ以外の公園は行政が直轄、またはボランティアなどの協力を得て管理をしています。

宮田: 日本には、地域の街の企業やお店が先行投資してそのエリアの価値を上げてきて還元するようなモデルはほとんどない。黒船的に全然違う人が外から持ってきて、マルシェとかキッチンカーで盛り上げるだけではなくて、地域の人達がその場作りに関与しコンテンツ提供するみたいに、まちの人が入ってくれるようなモデルができないかなということを考えています。

島田: 現在日本にも店舗を持つNY発祥のハンバーガ屋のシェイクシャックは、実はマディソンスクエアパークのホットドッグカートから始まりました。当時治安が懸念されていたNY市ですが、1990年代に入り市をあげての犯罪撲滅、安全強化の政策が導入され、それに伴い公園のリノベーションが行われました。2002年にマディソンスクエアパークも大規模なリノベーションが行われ、新しく仮設の飲食サービスを始めたのが流行り、後に常設のお店になり今の姿になったという話です。

▲マディソンスクエアパーク内のシェイクシャック

宮田: 南池袋公園には併設のカフェがありますが、地域の小さな公園にカフェを置くわけにはいかないので、軽トラックにパンと図書館の本とコーヒーやモバイル遊具などを積んで回ろうかというようなことを考えていて、その運営形態について議論しています。運営は移動販売のプロ業者が想定されるとは思いますが、代理販売含めて出来るだけ地域や大学との連携ができればと考えています。地域ごとに立地も特性も異なる公園をつなぐコンテンツ提供を、フィックス(設置型)とするとリスクも大きいので、小さい公園にはモバイル(移動型)が合うのではと考えています。

島田: 常設の施設を導入する場合、時代やニーズに沿って後で用途変更が求めらる時に対応が難しいケースもあります。時代が変わっても管理費の収入に繋がるサービスが継続できるのか、店舗デザインや用途変更がしやすいか、など長期的な視点で検討するとともに、一定期間ごとの事業評価、見直しを行うのも重要だと思います。

三谷: すべての小さい公園に施設を導入することはできないし、稼ぐということそのものが目的になっているのは気になるところで、稼ぐというよりも、どういう機能が地域のために必要とされているかというところから考えて、それが必要になることで、人がきてお金が落ちてという循環をいかに作るかという議論をもっとした方がいいんじゃないかなと思います。例えば地方の街区公園だったら、カフェを単につくるのではなく調剤薬局を併設したりして、お年寄りもきて立ち寄ったついでにテラスでお茶を飲んでいけるとか。稼ぐというのももちろんなんですけど、機能的でそのエリアの生活の一部として取り入れられる考え方で、何が必要かというのを考えていけるともっと良いんじゃないかと思います。

公園の担い手であるボランティアのあり方

島田: 今後、これまで以上にボランティアや市民参加が必要になる中で、その斡旋の工夫も必要だと思います。ボランティア参加者も、活動を通して自分のスキルを活かせ、向上できるような”育成、成長形”であれば長期的に続けやすいように感じます。続けていく中で役割や報酬の増加、認知の拡大といったモチベーションやインセンティブを高めるのもアイデアの一つではないでしょうか。

ボランティアは暇な人や親切な人だけの集まりではなく、本来支払われてもいい活動を自発的に協力して行っています。そのリターンが自分自身のスキルアップかもしれないし、ボランティア対象の地域や活動の向上かもしれない。利益を追及するものではないですが、ボランティア活動がどのように自身、地域や活動に貢献しているのか見たり感じれるよう状況を可視化するのは悪くない思います。”リターン”はすぐに見えないかもしれませんが、アメリカ的にいうと投資に近いのでしょうか。その活動が楽しければ楽しいほど良いですよね。

日本とアメリカでは文化や背景が異なりますが、経済的に管理運営が難しい時代に入っていくのは同じです。ボランティア活動の斡旋として、まず楽しくできる、参加者の増加、リーダー育成、そして取組みの拡大とそれぞれが強化されることで大きなパワーになると思います。一部の人が無理をして活動するのではなく、文化の継承のように、活動の奥にある目的やその美、人の意識を刺激してボランティアリズムがさらに拡大し、持続可能なかたちになれば良いなと思います。

三谷: 本当にそう思います。日本ではボランティアで頑張って来てた人たちが高齢化してきていていることもありますし、今の状態を維持するのも難しくなってきますよね。

アメリカのフィラデルフィアに行った時に”Grays Ferry Triangle Plaza”という道路用地を広場化して活用しているところがあり、どうやって運営しているのかな?と色々見ていたらアイスクリーム屋などのお店がいくつかあって道を挟んでスーパーもある。スーパーやアイスクリーム屋が協賛していて小さなエリアの中でお金を少し出し合ってうまく地域で管理しているのだと思います。スーパーで買い物して出たら、アイスクリーム屋でアイス買ってもらって公園じゃないですけど周りの店舗と一緒に作っている。これは公園ではなく道路用地を広場にした例ですが、周りのお店など周辺とともっとうまく協調してやっていくことで可能性が広がると思いました。

島田: もっと公園を開放し、さらに周りと繋がって行けば良いですね!

▲道路を活用し広場として活用しているGrays Ferry Triangle Plaza

<ピクニック座談会を終えて>

さまざまな角度からの”小さな公園”についての議論を通して、公園活用のためのたくさんのヒントをいただきました。公園は”地域みんなのもの”であるからこそ、公園とそれを使う人との関わりをどうつくっていくか、ワークショップ、ハードとソフト、情報、運営方法などあらゆるものを通して考えていくことが大切だと感じました。


Written by Hiroko(PARKFUL編集部)
好きな公園:新宿御苑、富山運河環水公園、チュイルリー公園(パリ)
どこにいっても誰もが自由に入れるのが公園。全国・世界各地の旅先で公園を訪れ、見比べるのを楽しんでます。

 

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