2017年3月23日〜25日、神戸市のKIITO(デザインクリエイティブセンター神戸)で開催された「+クリエイティブゼミ vol.23 まちづくり編 公園と地域をつなぐ仕組みを考える。」(以下、公園ゼミ)に参加してきました。公園の未来を考えるワークショップの様子を、2回に分けてレポートします!
今回は、このワークショップで目指すものや、地域を考える上で大切なポイントについてご紹介します。
公園のあり方にインパクトを与える
地域コミュニティの拠点として、さまざまな役割を果たせるはずの公園。しかし使い勝手が悪かったり、どう使ったらよいか分からず、うまく使いこなせずにいる公園が多いのが現状です。
KIITOでは、「公園ゼミ」としてこれまでにも公園活用に関するさまざまなワークショップを開催し、そこで生まれたプログラムを実際のアクションにつなげてきました。効果を感じるプログラムが形になってきた今、求められているのは、そうしたプログラムを継続していけるよう、またいろんな公園で展開できるように、「仕組み化」すること。そこで今回は「公園と地域をつなぐ仕組みを考える」ことをテーマとして設定しました。このテーマ設定は、神戸市公園課からの提案でもあったそうです。
講師は、NPO法人プラスアーツの代表でありKIITOの副センター長も務める、永田宏和さん。まちづくりや防災などの課題にクリエイティブな視点でアプローチし、さまざまなプログラムを企画・プロデュースされています。
公園は今、変わろうとしています。この潮流の中で、公園と地域をつなぐ新たなモデルを生み出したいと思います。神戸から、これからの公園のあり方にインパクトを与えられるような仕組みを一緒に考えていきましょう!(永田さん)
みんなにとっての公園とは?
今回の公園ゼミに集まったのは、総勢17名。すでに公園をフィールドに活動をされている方や公園ゼミ常連の方から、ふとしたきっかけで公園に興味を持った方、自分の専門分野と公園を結びつけてみたいという方など、参加動機もバックグラウンドもさまざま。
それぞれの公園にまつわる思い出を聞いてみると、こんな会に集まったメンバーにも関わらず、最近公園に行ってないという人がちらほら。でも、それも大事な事実です。一方で、健康に気を使い始めたことや子供ができたことが、久しぶりに公園へ行くきっかけになったという人も多くいました。みなさんとって公園がどういう位置付けになっているのか、思い出を振り返るだけでも様々な気付きを得ることができたように思います。
“私たちは風の人です”
はじめに永田さんよりワークショップへの取り組み方についてアドバイスがありました。まず、こうしたまちづくりに関わる上で大切な考え方として、「地域豊穣化における『風・水・土』」のお話。
「風の人」は、外から種を運び、地域に刺激を与える存在。
「水の人」は、その種に水をやり続ける、中間支援的な存在。
「土の人」は、その土地に根を張り、活動し続ける存在。
私たちは風の人です。本来であれば、土を知るところから品種改良まで取り組むことができれば良いのですが、3日間のワークショップでできることは限られます。そこで今回私たちが目指すのは「いい原種」を作ることです。(永田さん)
種を作るうえで大切なのが「不完全」であることだと言います。地域での取り組みを定着させるためには、さまざまな方が参加し、みんなで作り上げることで「みんなのもの」にすることが重要。そのためにも、関われる余地を残しておくことがポイントなのだそうです。また、抱えている課題は地域によってさまざまですから、地域に応じて柔軟に変えていける種が”いい種”ということになります。
目指すことがただ楽しいだけのイベントではなく、地域を良くすることだからこそ、長期的な視点でどのように種を育てていけるかまで考えることが大切ですね。
人の心を動かす「+」を
さらに実践に結びつける上で大事なのが「+クリエイティブ」という手法。人が動くためには、理屈だけでなく、心動かされてモチベーションを持てるようなものが必要だといいます。生み出した事業やプログラムに、アイデアや工夫、デザインやアートを注入し、人の心を動かし惹きつけるような「新しいカタチ」を作ること。まさに永田さんがこれまで実践されてきたことです。
公園をいきなりガラっと変えるのではなく「仕組み」にすることで、さまざまな状況に適応することができたり、だれでも行動を起こしやすくなったりします。難しいテーマではありますが、永田さんのアドバイスを受けてゼミ生はみんなやる気満々。
ということで次回は、実際のワークショップの様子とそのアウトプットについてレポートいたします!
好きな公園:木場公園、清澄庭園
ふらりと行った公園で生まれる偶然の出来事や出会いを楽しむのが好きです。