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大きなパエリア鍋がコミュニティをつくる! 公園パエリアの可能性とは

レポート 2018.03.26

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お花見やバーベキューを楽しむのに最適な季節になってきました。春らしい陽気に恵まれた3月のとある日曜日、杉並区にある和田堀公園のバーベキュー場には、見たこともない大きなパエリア鍋を広げている集団が。「公園パエリア」と題して集まったこの一風変わったバーベキューの会に、お邪魔してきました! そこで「世界一のパエリア」の奥深さを知るとともに、公園とパエリアの意外な可能性を感じることに。

パエリアの世界チャンピオンは日本人シェフ!

この会は、昨年9月スペイン・バレンシアで開催された国際パエリアコンテストの国際部門で、日本人初の優勝を果たした「スペイン料理 anocado(アノカド)」の川口勇樹シェフと高久麻由さんを祝うため、日頃シェフらと交流のある方々によって企画されたもの。続々と集まるみなさんからは「おめでとうございます!」という言葉が飛び交っていました。パエリアにコンテストがあることも、そのチャンピオンが日本人であることも、驚きです!そしてこの日は、世界一を獲得したパエリアと同じものを、公園で調理しみなさんに振る舞ってくれるというのです。

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左:高久麻由さん/右:川口勇樹シェフ

競技パエリアとは?

国際パエリアコンテストでは、直径70cm・20人分の大きなパエリア鍋が使われます。作るのはウサギと鶏肉と使い、オレンジの薪で炊き上げる「パエリア・バレンシアーナ」。パエリア発祥の地 バレンシアの伝統的なパエリアです。日本で馴染みがあるのは魚介のパエリアだと思いますが、元祖は“山のパエリア”なのだそうです。

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パエリア・バレンシアーナ

この日は、世界一となったアノカド・チームに加え、愛知県岡崎市から「洞町スペイン酒場 Jugem」の橋本シェフと杉浦さんが駆けつけ、コンテストのように同じ条件・同じ食材でそれぞれパエリアが炊かれました。同じパエリアを炊くにも、食材を入れるタイミングや鍋の使い方、薪のくべ方まで、それぞれ全く異なり、参加者のみなさんは2チームの間を行ったり来たりしながら、調理の過程を楽しんでいました。

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ジュゲムの橋本シェフ&杉浦さん

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少しずつパエリアらしく

パエリアは“お焦げ”が命

競技パエリアの審査ポイントは「味、見た目、色、お焦げ、食感」の5つ。とくに「お焦げ」を全体に均一に作るため、火加減を絶妙に調節し、ときに鍋を動かしながら繊細に仕上げていく様子は、まさにパエリアに命を吹き込むかのような作業。

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愛情をこめてお焦げをつくる

お焦げには“愛”が現れるんです。満遍なくちゃんと火があたっているか、しっかり手間をかけ、どこかに偏ることなく炊けているか、そういうことがお焦げの出来につながります。

というのは、川口シェフの言葉。鍋底にまんべんなく火を当てる必要があるため、本格的なパエリアは家庭用のコンロなどでは作るのが難しいのだそうです。

公園パエリア完成!

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チーム・アノカド

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チーム・ジュゲム

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川口シェフのパエリア解説

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審査員気分で色や食感もチェック

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パエリアに合うワインも!

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タパスのレシピにも興味津々

パエリアはコミュニケーションを生む料理

アノカドのお二人が、今回の世界大会を振り返りつつパエリアへの想いを話してくださいました。

川口さんパエリアは、レシピがただ伝わっただけでなく、“パエリアをする”という文化が基本軸にあります。パエリアをすることで家族や友人ときに異業種交流などをして、大きな丸い鍋を囲んでコミュニケーションが混じり合う、そういうものも含めた「パエリア」を味わうことが大切なんです。
以前は僕も、自分のためにパエリアを炊いていました。その時は負けて帰ってきた。でも自分のためにやるのはパエリアじゃないということに気付きました。だから今回、優勝することができたのだと思っています。

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2016年の悔しい思いをバネに2017年見事に優勝

高久さん今回の世界大会では、ただ勝つんだという気持ちだけではなく、楽しもうという気持ちがありました。作っているときもパフォーマンスとして楽しく、そして「この人に食べさせたい!」という想いを持って作ったことが、パエリアにも現れたのかなと思っています。

川口さんみなさんで、ぜひパエリアをやってほしいと思います。パエリアはもともと男性が作る料理。家庭でもお父さんが威厳を取り戻すべく、ぜひパエリアに取り組んでもらえると良いと思います!
これまでパエリアの歴史や伝統、愛などについてを研究してきて自分が開眼した部分を、日本のみなさんに伝えていきたいと思っています。そしてパエリアの普及を通じて、“食べる”ことを通じたコミュニケーションがもっと活発になれば嬉しいです。

川口シェフは今年、“パエリアをする”ということを提唱した「Paella Mania(パエリア・マニア)」という組織を結成するそうです。作るのを楽しむところから、上級者は講師になるような人も育てていきたいとのこと。興味のある方は門を叩いてみてはいかがでしょうか。
そして、世界大会の連覇に向けて今年も挑戦するとのことなので、ぜひ応援していきたいと思います!

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“パエリア・マニア”を結成

気軽にアレンジして楽しんでほしい

今回、会場に来られていた日本パエリア協会会長の清水正敏さんにもお話を伺いました。

清水さんラーメンでもカレーでも、日本人は取り入れるのがうまいので、パエリアもどんどん自分たちでアレンジして楽しんでほしいです。以前、静岡で桜エビを入れて作ったことがありましたが、とても美味しくできました。そういった、ご当地食材でのアレンジも楽しいですね。
また震災では、協会や各地の店舗がパエリアの炊き出しも行いました。パエリアは一度にたくさん作ることができますし、作る過程も楽しむことができるので、炊き出しにも向いている料理だと思います。

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日本パエリア協会の清水会長

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料理研究家 加瀬まなみさん

また、タパス(スペイン料理のおつまみ)を振る舞ってくださった料理研究家の加瀬まなみさんは、家庭でも楽しめるパエリアを提案しているそうです

加瀬さんこういう本格的なのもパエリアですし、自宅でお母さんが作るのもパエリアです。ちょっとお焦げに失敗したり、そういうところも楽しんでもらえると良いと思います。スペインは日本と緯度が近く、似たような食材や調理法も多いので、馴染みやすいですね。

相性抜群!公園×パエリアの可能性

お米という日本人にとって馴染みやすい食材で、アレンジ次第で老若男女が楽しめる料理、パエリア。例えば炊き込みご飯であれば、炊き上がるまでじっと待つことになりますが、パエリアであれば食材を炒めるところから仕上げの蒸らしの直前まで、その過程もまた見て・参加して楽しむことができます。そんなエンターテインメント性も、公園でみんなで楽しみやすそうなポイントです。地域の食材を使って、公園パエリアレシピの開発なんていうのも楽しそうですね。

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そして何より、川口シェフの言葉にあったように、この丸い鍋を囲んで生まれるコミュニケーションは、公園という場で地域の人々をつなげてくれる可能性を感じました。「パエリアをする」を通じて公園コミュニティも元気に、そんな予感にワクワクします。

公園の定番であるバーベキューも、プロの手にかかればこんなにエキサイティングな楽しみになることが分かった公園パエリアの会。これからバーベキューや防災訓練の機会には、ぜひ公園パエリアに挑戦してみてはいかがでしょうか。

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※尚、本格パエリアは薪を使って炊きますが、公園のバーベキュー場では薪の使用が禁止されているところも多いようです。あらかじめ各公園へご確認の上、ルールを守ってご利用ください。

本記事に登場した情報

第2回パエリア・タパス祭り2018 in 代々木公園

日本最大級のパエリア&タパスイベントが、代々木公園で開催されます! パエリア日本一を決定する「全国パエリア選手権」や、味自慢のタパスを競い合う「全国タパス選手権」も同時開催。スペインワインやビール、そしてスイーツなど、全国から集まったおいしいパエリア&スペイン料理を楽しんでみませんか?

  • 開催日時:2018年3月31日(土)11時~20時 / 4月1日(日)10時~20時
  • 会場:代々木公園 イベント広場けやき並木(東京都渋谷区)
  • 主催:日本パエリア協会/パエリア・タパス祭り実行委員会
  • 詳細はこちら≫
Written by 梅村夏子(PARKFUL編集部)
好きな公園:木場公園、清澄庭園
ふらりと行った公園で生まれる偶然の出来事や出会いを楽しむのが好きです。

観音池公園(宮崎県都城市)

連載:ポートランドの公園に行こう #03 パイオニア・コートハウス・スクエア