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公園政策から見る、日本のこれから 〜 公園行政アンケート振り返り 〜〈後編〉

これからの公園 2018.02.09

〈前編〉〈中編〉では公園が抱えるさまざまな課題と、その解決に向けた官民連携や市民協働などの動きについて取り上げてきました。最後となる〈後編〉では、逆にほとんど関心が示されなかったテーマに注目してみたいと思います。

↓前編、中編はこちら

ICTはまだ顕在化していない課題

多くの自治体がよりよい公園の環境づくりや維持管理などハード面の整備に注力している一方で、ソフト面とりわけICTの活用にはまだ関心が及んでいないようです。PARKFULでは公園情報を集めてデータベース化していますが、弊社の独自調査では公園の情報をオープンデータとして公開している自治体は全国の約6〜7%程度にとどまっています。

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例えば、公園の維持管理をICTで効率化する「市民通報システム」(市民が公園などの公共施設の不具合等をスマホ等で報告できる仕組み)は、ここ数年さまざまな自治体で導入されており、関心が高まっていると想像していましたが、回答は0でした。〈前編〉で取り上げた「市民協働」への関心の高さとは、相反する結果です。公園に限定した取り組みでないという点から回答には至らなかった可能性もありますが、ICTへの関心が低いことを踏まえると、それだけでは無いように感じられます。

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市民通報システムに早くから取り組んでいる千葉市の「ちばレポ

昨今は各業界で「働き方改革」が進んでいますが、〈前編〉〈中編〉で触れてきたとおり公園を取り巻く財政がより厳しくなる中で、さらなる効率化が求められる今後、ICT活用は遠からず取り組むべき課題となるのではないでしょうか。

例えばPARKFULで連携させていただいている越前市では、担当者様が公園を回りながら設備の状況を確認し、その場でスマートフォン(アプリ)からPARKFULへ設備情報を登録していただいています。こうしたスマートフォンやタブレット等を活用した「テレワーク」も、現場を抱える公園管理とは相性が良さそうです。あるいは、ちばレポもPARKFULもそうですが、多くの人で情報を共有したり、そこに参加してもらうためにICTは大きな力を発揮します。官民連携、市民協働など、公園に関わる人がより多様化していく流れの中では、きちんと情報が整理され可視化されることの重要性も増していくことでしょう。

公園行政の情報ニーズは高い

アンケートでは、各自治体での取り組みとは別に、どのような情報や機会が欲しいかという質問にもお答えいただきました。結果は、8割以上の自治体が「日本国内の最新公園事例、取り組み」について知りたいと回答。また「他の自治体の公園担当者との交流や情報交換の機会」にも半数近くの自治体が関心を寄せました。一方、海外の事例については少数に留まる結果となりました。共通する課題や条件があり参考にしやすい国内自治体の事例に対して、現場のニーズが表れた結果と考えられます。


南池袋公園

近年最も話題になった国内事例「南池袋公園」


公園先進都市ニューヨークの「ハイライン」

裏を返せば、現状はそうした情報・機会がまだまだ不足していると捉えることもできます。公園部門に関わらず、行政機関は定期的に配置転換が行われるため、ナレッジや経験が蓄積しにくい環境であることが想像されます。公園に関するさまざまな情報やノウハウのストックと共有、活発な情報交換が行われる環境・仕組みづくりが求められているのでしょう。前述のICT活用はこうした点にも活きるかもしれません。さらに、そうした情報を可能な限り一般にも広く共有することで、よりさまざまな主体が公園に関わりやすくなり、課題解決への新しいアイデアを生みだすことにもつながるのではないかと考えます。

最後に

「公園政策を通して、日本のこれからを考える」という大げさなテーマを掲げてここまで書いてきましたが、実際に私たちに求められているのは「日本のこれからのために、公園がどうあるべきかを考える」こと。全国に10万箇所以上あるすべての公園が、その対象です。

今回のアンケートでは、回答の理由やより具体的な取り組みについて深り下げていないため、ここまで述べてきたことはあくまで数字と世の中の動向からの仮説に過ぎません。現場の方からは、解釈が違う!という声もあるかもしれません。ただ、公園行政の現場にはこれだけ幅広い課題があること、そしてその解決ためには「市民協働」「官民連携」のような行政以外の力が必要とされていることは確かでしょう。行政のみなさんはもちろん、この記事を読まれたみなさんが(市民として、企業・組織として)力を発揮できるテーマもきっとあるはずです。ぜひこの機会に公園への関わり方について、考えてみてはいかがでしょうか。

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