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名古屋市公園経営シンポジウム「名古屋市1500公園の可能性を開く」開催レポート(1)

レポート 2019.03.12

2月12日(火)に 平成30年度 名古屋市公園経営シンポジウムが開催されました。PARKFULが企画構成・進行等で協力させていただいた、シンポジウムのテーマは「名古屋市1500公園の可能性を開く」。近年、名古屋市で課題となっている地域の方々による公園の活用、そして街の活性化に向けて、ゲストプレゼンテーションやパネルディスカションを通じて、みなさまと一緒に考える場としました。

今回から2回に分けて、シンポジウムのレポートをお送りいたします。初回は、プログラム前半に行われたゲストプレゼンテーションの内容をお伝えします。

名古屋市1500公園の可能性を開く

ゲストプレゼンテーションに先立ち、名古屋市 緑地利活用室の荒川さんより、本シンポジウムの狙いや今後の公園活用に向けた考えについて説明がありました。

名古屋市 緑地利活用室 荒川剛さん

荒川さん:本日のテーマの「1500公園の可能性を開く」ということを、平たく言うと「1500公園全部使って欲しい!」ということです。

今は公園の活用が十分にできていません。これを、市民の皆さまの自己実現の場としてつかっていただく、または事業者の方にビジネスとして使っていただく、社会貢献の場として使っていただくなど…… みんなが関わることでもっと活用されるのではないかと考えました。公園の活用によって公園の魅力が向上するのではないか、そして地域の皆さんが公園を使うことで、公園が地域のコミニュティの核になっていくのではないかと考えています。

1300/1500。これは、あまり大きくない中小サイズの公園の数ですが、言い変えれば地域に身近な公園が1300公園あるということ。こういうところをもっと活用していける方法を見つければ、1500公園全部の公園を活用していけるのではないかと考えています。さらにもう1つ、1200/1500。すでに地域の皆様に清掃や除草などで協力をいただいている公園の数です。本日も愛護会の方には多数お越しいただいています。なので、すでに活用の基盤はあるのではないかと考えています。

公園で皆さまが各々自由に楽しめるような状況を目指してやっていこうと考えています。

小さな公園から、まちを変える。

ゲスト1人目は、豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長の宮田麻子さんです。現在取り組んでいる小規模公園活用の背景や活動内容をご紹介いただきました。

宮田麻子さん/豊島区「わたしらしく、暮らせるまち。」推進室長

小さな公園を、街の課題解決につなげる

宮田さん:公園の活用によって街の魅力を高めるというお話だったと思いますが、どちらかというと豊島区は公園ありきではなく、さまざまな街の課題から公園というものがなにか解決の糸口になるんじゃないか、というアプローチになっています。

豊島区が掲げている「わたしらしく、暮らせるまち。」というコンセプトは、ひとりひとりの多様なライフスタイルを大切にし、女性に視点をあわせて街を見渡すことで、子どもや年配者、外国人など全ての人が住みやすく、誰もが自分らしく暮らせるまちを目指すものです。

豊島区の全164公園の7割が小規模公園で、平均面積も1300m平米と非常に小さいです。こういった公園をどうにかしていきたいというお話ですが、これは今どこも全国共通していることだと思います。また、豊島区は小さいのに230以上の町会があり、その担い手がもう50歳で若手と言われるくらい。入会率もどんどんさがっていて新しい担い手との関係構築というところも難しくなっています。そんな中で、小さな公園を地域に開いて、地域と共にコミュニティの場に育てるといったことを掲げています。

組織横断による小規模公園活用プロジェクト

宮田さん:小規模公園活用プロジェクトを昨年からパイロット的に開始し、今年度は7公園で取り組んでいます。その7公園を選ぶためにまず区内の公園を全部、足で回って調査したんです。調査項目として公園そのもののスペックに加えて活用に影響するであろう評価項目を点数化しました。例えば地域課題や子供の利用状況であるとか、公園だけでなく周辺環境が非常に大事で、あとは区画整理計画や、地域にどんな担い手がいるかなど。古くからの町会の方、新しく住み始めた方との交流や関係構築が一番大変なところですね。

ちなみに私は公園課の人間ではないんですけれども、従来の公園整備や維持管理の枠を超えて部局横断の組織メンバーが集まってプロジェクトチームで進めています。

今あるものを活かし、◯◯できる公園へ

宮田さん:小規模公園活用プロジェクトでは、◯◯できる公園にしようということを掲げています。禁止事項の看板が増えて、結局この公園で何ができるのだろうという状態に今なっています。できることをちょっとずつ地域の方と増やしながら、◯◯できる公園にしていけないか、3つのポイントを掲げてやっています。

1.公園の特性と立地を活かし、地域のための場になるように見直す
2.今あるものを活かし、できることを見出す
3.活用の実験と実践をくりかえす

井戸端会議を開き、公園のことを公園の中で話しています。ただの会議だとおもしろくないので、コーヒーを振舞ったり。そうすることで、ただ通り過ぎるだけだったちょっとさみしい公園で、近隣のお年寄りがお茶を飲みながら談笑したりするような風景を少しづつ作り出していっています。また、公園の利用者に公園で何ができたらわくわくしますか?どんな場所になったらわくわくしますか?という投票も行っています。

地域の小さな公園を住民と一緒に育てていって、愛着のある暮らしによってまちづくりをしていきたいというふうに思っています。これは時間のかかることで、まだまだスタートラインに立ったばかりですが、こういった取り組みを豊島区では始めていっています。

虎ノ門のグランドレベルで進む新しい街づくり

ゲスト二人目は、森ビル株式会社タウンマネジメント事業部の中裕樹さんです。虎ノ門ヒルズを中心とした、地域の価値を高めるまちづくりについてご紹介いただきました。

中裕樹さん/森ビル株式会社タウンマネジメント事業部

人が集う「OUR PARKS」へ

中さん:私はタウンマネジメント事業部というところで、虎ノ門ヒルズという街の運営をしております。今回は公園経営シンポジウムということで、民間の立場から空地の活用や緑地の活用といった話をできればと思っています。

私が担当している虎ノ門ヒルズエリアは、他のビジネスエリアに比べると古い街、虎ノ門というとサラリーマンしかいないようなイメージの街でした。そこに虎ノ門ヒルズができたことによって虎ノ門エリアはすごく変わっていまして、新しいビジネスが起こったり、イノベーションが生まれたりというエリアになっています。

ただ完成した虎ノ門ヒルズはいい建築物でいい広場もあるけれども、どうしても人の利用シーンがイメージしずらい。どうしていったらいいかというところで考え、「OUR PARKS」というコンセプトを立ち上げました。その場所をみんなでつくっていけるという風に考え、どこの場所も人が集まれば「OUR PARKS」だし、公園だし、そこがコミュニティになっていくのではないか、ということを考えながら取り組んできました。

地域コミュニティと交わるまちづくり

中さん:開業当初から実施しているのはヨガなんですけれども、一番多い時には日曜日に300人くらいの参加者がいらっしゃいます。花のマーケットは半年に1回くらい定期的に行なっているイベントで、花があると空間が一気に香りで変わるという非常にいいイベントだなと思って継続してやっています。あとは屋外映画ですね。

イベントだけじゃなくて、虎ノ門ヒルズの広場自体をいろんなコミュニティの場所として地域に開いているというところもあります。ひとつは、虎ノ門ヒルズの就業者の皆さんの避難訓練ですね。また、毎月第二・第四木曜日にグリーンバードという清掃活動に取り組んでいます。こういったことが地域のコミュニテイづくりのひとつになっているのかなと思います。虎ノ門ヒルズという再開発でできた新しい街で地域と交わることができていると思っていて、街にいる方・地域にいる方の顔を見ながら常にまちづくりをしているというところです。

定期開催しているフラワーマート

地域清掃に取り組むグリーンバードの活動



街のブランドが、街の収益を生む仕組み

中さん:それだけ聞くと民間の事業者だからできるんじゃないかと思われるかもしれないですけれど、私たちの取り組みは森ビルがほぼ投資をしていない、独立採算制のものも多いんです。

たとえば広場で企業にプロモーションをしていただき、収益を得ながら、をれを原資にして自主的なイベントを実施する。つまり街の運営によって魅力的なイベント行い、街のブランディングを高めそれによって街の収益を上げています。リアルな場所だけでなく、メディアをつくったり映像媒体をつくって、そこで稼ぐということを考えて、それによって持続的な広場活用・維持管理・賑わいづくりができるという風に考えています。

お金を稼ぐことによってもっと自分たちのイベントができる、この仕組みをぐるぐるまわしていく。常に維持できるこの仕組みを意識して仕事をしています。

市民が主役のまちづくり

ゲスト3人目は、一般社団法人クレイドルの高井譲さんです。昨年度まで西東京市の職員として実際に取り組まれてきた市民協働のお話を中心にご紹介いただきました。

高井譲さん/一般社団法人クレイドル・LBA幹事、元西東京市みどり公園課長

個人の課題を、地域の課題へ

高井さん:地域の身近な公園を活用した市民が主役のまちづくりということで、最初にまちや地域の課題について考えてみましょう。皆様の身近なところの課題、困っていること、個人的に悩んでいること、改善したいこともあると思うんですね。課題、個人的な苦情や要望などを、話し合いや懇談会を通じて地域の課題ということでみんなのものにしていきます。一人だけでなく多くの人々が改善すれば、地域がより良くなり住みやすくなること、自分たちで協力してできることも考えていこうと。

まず皆様方の思いや要望、苦情などが出発点なんですね。そして市民の皆さんはお客様ではないので、市民と行政は問題解決するためのパートナーとして一緒に考えて二人三脚で活動していくということが大切です。そして市民協働を推進させていくと。

市民主体の活動から、市民の自己実現へ

高井さん:市民ボランティア主体の活動として、たとえばこれ薪ストーブの会というのがありまして、薪ストーブは愛好家が結構いらっしゃるんですよ。その薪っていうのは意外と高かったり、薪ストーブが好きな方ってアウトドアが好きなアクティブな方が多いので自分のチェーンソーを持って切りたい場所を探していたりします。樹木の伐採作業を、そういう方と一緒にネットワークを組んでやるんです。樹木を切って、薪にして持っていってもらう。ボランティアさんが主催でやられているので、そういう中で新しい会員も増えていくんですね。

あるいは、市の花コスモスを植えようプロジェクトでは、子どもたちが自分で考えて、自分たちでボランティアに話を聞いていく中で、プロジェクトを自ら進んでやっていこうという話になったんですね。ボランティアさんがサポートしてくれるというのは、親や教師以外からいろんなことを学ぶ機会になり、お子さんにとっては新鮮なんですね。またボランティアにとっても、子どもたち自分たちの技術を教えられるということで、大変喜んでらっしゃいましたね。

やっぱり公園・緑地は自己実現の場だと思うんですね。



市民主体の活動から、市民の自己実現へ

高井さん:公園を活用、活性化するのは人なので、行政や公園管理者は皆さんが活躍できる場所を一生懸命つくっていくというのが大切だと思います。市民が主役の公園づくりは地域コミュニティの再生にもなってきますので。地域コミュニティを再生すれば、よりよいまちを皆さん方でつくっていくということになると思います。市民協働というのはまちづくりにおけるマーケティングともなります。事業者さんや市民の皆さんが活動がやりやすいという、自分たちがやりやすい、そういうブランドを確立するとですね市民が主役のまちづくり、ひいてはエリアマネジメントにいくのかなと思います。

▼レポート後編、パネルディスカッションの内容はこちら。

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