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国内外の事例からみる「インクルーシブパーク」とは? 公園・遊び場の新しいかたち

これからの公園 2020.12.25
インクルーシブパーク

2020年3月、日本で初めてのインクルーシブ公園(インクルーシブパーク)が東京都世田谷区砧公園のみんなの広場に誕生しました。その後豊島区でも、としまキッズパークがオープンするなど、徐々に日本国内にインクルーシブパークは広がりつつあります。海外では先行して広がっているインクルーシブパークですが一体どのような公園なのか、紹介していきたいと思います。

「インクルーシブパーク」ってどういうもの?

インクルーシブパークとは障害のある子もない子もみんな一緒に遊べる公園です。ではこれまでよく耳にしていたユニバーサルとインクルーシブはどういった違いがあるのでしょうか。多くのランドスケープデザインを手掛ける米国ポートランドのデザインスタジオ「PLACE」は2020年10月30日に開催されたイベント、インクルーシブパークフォーラム2020>でこのように語っています。

「ユニバーサルデザインは『 “1fits all” ひとつのものがみんなにあてはまる』であるのに対し、インクルーシブデザインは『 ”1fits1” それぞれのものが一人ひとりにしっくりくる』という違いがあり、それぞれ違った意味で重要です。」

つまり、1つの公園で違う能力を持った子供たちが同じことを隣同士で違う風に楽しめるというのがインクルーシブパークなのです。それでは、実際に国内外のインクルーシブパークの事例をみていきましょう。

アーバー・ロッジ・パーク(米国 ポートランド)

誰もが居心地良く過ごせ、緩やかにつながる 

全米一住みたい街とも言われるポートランド。その街の魅力のひとつともいわれるのが「公園」で、市内にはたくさんの魅力的な公園があり、これまでもパークフルでご紹介> してきました。その中で今回ご紹介するのは障害をもつ子も遊べる公園を、という想いから実現した米国ポートランド初のインクルーシブパークです。閑静な住宅街にあるこの公園は遊具ゾーンだけでなく、公園全体がインクルーシブな視点で設計されており、魅力的な空間となっています。

園路をはじめ敷地内に段差がほとんどなく、車椅子やベビーカーの方はもちろんのこと、誰もが快適に移動しやすいようアクセスビリティが考慮されています。また、車椅子の子ども、障害のある子どもも分け隔てなく遊べるような遊具が揃っていたり、子どもと一緒に来た大人も、リラックスできるような心地よい日陰のある芝生やちょっと腰掛けられる場所があったり、あらゆる人が快適に過ごせる工夫が随所にみられます。

地域のみんなの場所である公園を誰もが気軽に来れるようにするには物やゾーンだけでなく、公園へのアクセスや園路にそういった視点を取り入れていくことが、みんなに開いていること、そして誰もがそこにつながっていると感じられることに繋がっていきます。

都立砧公園 みんなの広場(東京都世田谷区)

誰もが一緒になって遊べる遊具が充実

都立砧公園は自然の地形を活かした緑豊かな公園です。家族で楽しめる公園をコンセプトにしており、芝生の広場と樹林で構成されるファミリーパーク、バードサンクチュアリ、スポーツ施設そして世田谷美術館など多彩な施設があります。春には園内に沢山植えられた桜が咲き、花見の名所としても有名です。広大な敷地に豊かな緑でまさに都心のオアシスと言えます。
そんな砧公園内にインクルーシブパーク「みんなの広場」は誕生し、色々な遊びの要素を兼ね備えた遊具が設置されています。

ブランコは一般的なタイプから皿形、椅子型と3種類あり、それぞれの子に合ったタイプを選んで遊べます。

船型をした遊具では車椅子や歩行器を使いながらも上のデッキまで上がれるように幅の広いスロープが付いていてます。


また触ったり顔をはめてみたりと進むごとにいろんな仕掛けがあるパネルでつくられた迷路もあります。車椅子に乗った子でも通りやすい道幅になっています。

ぐるぐるマウンテンは背中を合わすように座わりみんなで一緒に遊べる回転遊具です。回したり回されたりして楽しみ方も様々です。1つの遊具をそれぞれの子がそれぞれの遊び方で楽しめるのはまさにインクルーシブパークの醍醐味です。

Park Information

開園時間 常時開園(みんなの広場は4月1日から8月31日まで 午前9時から午後5時まで
9月1日から3月31日まで 午前9時から午後4時まで)
休業日
入園料 無料(一部有料) 駐車場 あり
住所 東京都世田谷区砧公園大蔵一丁目
地図
アクセス 東急田園都市線「用賀駅」から徒歩20分
東急田園都市線「用賀駅」からバスで「美術館」下車
小田急線「千歳船橋駅」からバスで「砧公園緑地入口」下車
小田急線「成城学園前駅」からバスで「岡本一丁目」下車
公式サイト https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index004.html

としまキッズパーク(東京都豊島区)

子供の可能性を開くファンタジーな遊び場

としまみどりの防災公園、通称IKE SUNPARKは2020年7月にオープンした新しい公園です。敷地のほとんどが原っぱ広場という芝生ゾーンになっていてその横にカフェやトイレが併設されています。防災公園という一面もありながら「公園を起点に循環を生む」「多様性を楽しめるコミュニティをつくる」「小商いや新しいチャレンジを応援する」の3つをテーマに掲げそれらに基づき、コミュニティーガーデンやファーマーズマーケットなど様々な活動が公園内で行われています。

そんなIKE SUNPARKの隣にある全体が赤色に統一された遊び場が「としまキッズパーク」です。

園内をミニSLが走るなど様々な遊びができる遊具や設備が目白押しです。

ブランコは親子で楽しめるように大人も一緒に座れるサイズの物や横転の心配がないバケット型があったり、砂場は車椅子に乗ったままでも遊べる高さのあるものになっています。

屋根がついたハウス型の遊び場も複数あるので直射日光に当たることができない子も遊べます。また滝や池、畑といった自然を模した仕掛けもあり、体を使って遊ぶ遊具だけでなく、水の流れや育っていく植物などの自然とも触れ合える機会があるのもインクルーシブパークの1つの要素と言えます。

Park Information

開園時間 午前10時から午後4時まで ※利用時間1時間の完全入替制 休業日 1月1日から1月3日、およびメンテナンス日(不定期)
入園料 無料(完全予約制 駐車場 なし
住所 東京都豊島区東池袋4-42
地図
アクセス ・イケバス(Aルート・Bルート)「としまみどりの防災公園(IKE・SUNPARK)」下車0分
・東京メトロ有楽町線「東池袋駅」下車6番出口から徒歩5分
・都電(さくらトラム)「東池袋四丁目駅」下車徒歩5分
・都バス(池86)「池袋サンシャインシティ」下車徒歩3分
・国際興業バス(池07)「サンシャインシティ南」下車徒歩3分
・JR「大塚駅」南口から徒歩10分
・JR「池袋駅」東口から徒歩15分
公式サイト http://www.city.toshima.lg.jp/340/shisetsu/koen/documents/2009141032.html

まとめ

日本ではまだまだ新しいワードである「インクルーシブパーク」について、これまでの一般的な公園との違いを感じていただけたでしょうか?
今回ご紹介した公園の他にも、今後さらに全国各地に広がっていくことが予想されます。今回ご紹介した3つの公園でもそれぞれ違う特徴があるように、色々な事例が増えていく中で、それぞれの地域の人々のことが考えられたインクルーシブパークが増えていくことを期待していきたいです。

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