開放的な芝生広場と四季の草木に彩られた詩歌の聖地
詩歌の森公園は、その名の通り、日本現代詩歌文学館、という学術的な施設を有する公園です。文学館には、常設で井上靖の展示室がある他、企画展や講演会が開かれています。
園内には、多様な植物が外周と築山周辺に植えられ、それぞれに名札が付けられています。不思議なことに俳句や和歌をたしなむでもなく、ただ、それらを読んでいるだけで、四季の移り変わりを深く感じるような気分になるものです。赤い実をつけているのは、アキグミです。
芝生広場では何組か親子連れが来ていて、敷物を広げ寛いでいます。子供たちは、とんぼを追いかけているのでしょうか、広場を走り回っています。
築山から、文学館の前庭にかけては、和風庭園ですが、毎年少しずつ手を入れてここまで立派になったといいます。
大きな水音に導かれて、行くと滝がありました。
文学館の池には、ずっと彫刻のようにアオサギが佇んでいましたが、池の鯉が水しぶきを上げたのに驚き、にわかに騒がしくなりました。芭蕉だったら、この光景をどう詠むのでしょう?
彫刻や記念碑などもたくさんあります。芝生広場にそびえる、詩歌の塔(片桐宏典作) 地元岩手出身の舟越保武(十和田湖の彫刻で有名な)の女性像。
中国河南省三門峡市との友好都市を記念して建てられた友好亭というエキゾチックな四阿など。
しかし、今回訪ねて最も良かったのは、俳人・山口青邨の杉並区にあった自宅と庭をそっくり移築したという『雑草園』いかにも俳人らしい命名にもこだわりを感じます。
数寄屋造りの端正な建築の内部には、鉱物学者でもあった青邨の石のコレクションや、ここの館長でさえ使い道のわからない道具や民芸品、書籍が一見無造作に、しかし整然と置かれています。ひとり青邨の愛用した椅子に座り、唯一の贅沢と言っていた庭を眺める、まさに至福のひとときでした。
惜しむらくは、公園入り口の園名サイン。英語訳のKitakami Poem Parkにそれは違う!と声を大にして言いたいのです。
(投稿:ひかる)
Park Information
開園時間 | – | 休業日 | – |
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入園料 | 無料 | 駐車場 | あり |
住所 | 岩手県北上市本石町2-5-60 | ||
地図 | |||
アクセス | 柳原駅から徒歩で約10分 | ||
公式サイト | – |
※『詩歌の森公園』と『黒沢尻中央公園』二つ名称がありますが、同じ公園です。